DX-Strategy DX戦略

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DX推進宣言

 当社は、創業より醸成してきた「ものづくり」職人のマインドを大切にしながら積極的な設備投資を行うことで、設計、開発、加工、組立、試験、メンテナンスにいたる一貫生産体制を確立しました。
 しかし昨今、少子高齢化、脱炭素社会さらにはWithコロナなど、企業を取り巻く環境は複雑になり不透明さが増しており、情報技術導入による業務効率化や生産性向上を進めていくことが、事業の存続・発展を図るための重要な課題となっています。
 そこで当社はAIやIoTなどの情報技術、そこから得られるデータを活用することをまとめたDX-Strategyを策定し、これを推進していくことを取締役会にて承認いたしました。
 環境変化やお客様のニーズの多様化に柔軟に対応していくために、以下に定めたDX-Strategyを実現し、従業員一丸となって新たな「ものづくり」に挑戦してまいります。

株式会社 中村機械
代表取締役 中村吉延

ビジョン

 DX-Strategyにおいて、私たちは次のビジョンを描いています。

1.顧客満足度向上
2.従業員満足度向上
3.パートナー満足度向上
4.新規ビジネスモデルの創出

 常に変化するデジタル環境において、イノベーションと効率性を追求し、顧客、従業員、そして協力会社等パートナーに持続可能な価値を提供します。また、シームレスでパーソナライズされた情報を提供することで、迅速で効果的な意思決定が可能とします 。これによって、ビジネスの柔軟性と競争力を向上させ、新規ビジネスモデルを生み出し、製造業界の標準を変革することを目指していきます。


基本方針

 以下の基本方針に基づき、ビジョンを実現します。

1.製造プロセスの最適化
 製造プロセス全体においてデジタル技術を駆使し、生産性の向上、リードタイムの短縮、コストの最適化を図ります。

2.データ駆動型意思決定
 決定に際しては、データを中心に据え、洞察に基づいた戦略を展開します。データの収集・分析を強化し、迅速な意思決定と実行力の向上を図ります。

3.顧客 、協力会社との連携強化
 クラウドやWeb 会議 、 EDI 等を活用し、顧客および協力会社との迅速・柔軟な情報共有、意思決定を可能とすることで、強固・最適なサプライチェーンを構築します。

4.従業員の力を最大化
 従業員のIT スキル向上を支援し、 従業員が自らのアイデアや経験を積極的かつ適切な方法で発信し、組織全体で共有できる環境を整備します。


DX-Strategy

 以下の6つの施策をDX推進の柱とし、重点的に取り組みます。

1.「製造現場」の見える化
 製造現場や各加工機にIoTデバイスや多様なセンサーを配置し、リアルタイムで稼働状況などを可視化します。これにより、従業員はリモートにて現場の状態を把握し、迅速かつ的確な対応を行うための判断材料を得ることが可能となります。

2.「モノ」と「工程」の見える化
 購入品や加工品にRFIDタグを付け、読取機による検収や棚卸、所在管理を効率化する仕組みを導入します。また、従来の紙ベースの工程表をRFIDタグ付きに置き換えることで、工程表の移動による進捗管理が可能となります。これにより、物品の所在管理や工程管理にかかる工数を大幅に削減し、業務の効率化を図ります。

3.オートメーション
 製造現場で発生する様々なデータの変化を基に、定型業務の自動化を推進します。 これにより、業務プロセスの効率化と迅速な対応を実現し、生産性向上に寄与します。
例えば、以下のような業務プロセスが自動化されます。

・現場状況の悪化、加工機の異常検知
 → アラートや警報を自動発信
・工具の摩耗・破損、在庫・消耗品の減少
 → 自動的に補充発注を実行
・部品の検収や所在変更、工程進捗
 → 次工程への自動搬送、仕掛通知、アクセス権の自動変更、出来高の自動計上
・製造完了
 → 関係者への自動通知、検査結果レポート出力、出荷スケジュール調整、原価集計

4.データ分析、最適化
 収集したデータを基に、BIツールや機械学習を活用し、現状の分析や問題点の抽出、さらに製造プロセスの最適化提案を行います。これにより、得られた洞察を再製造時にフィードバックし、継続的な改善を図ることが可能となります。 また、データを集約・予約し、歩留まり、原価率、生産性などをリアルタイムに可視化することで、投資計画や人員計画、配置の最適化などの経営判断に役立てます。

5.企業間のシームレスな生産体制の構築
 お客様、当社、そしてパートナー企業との間で、シームレスな生産体制を確立します。 RPA、API、クラウドの活用により、当社システムとお客様システム(EDIなど)を準リアルタイムで連携させ、見積や発注に関するデータを自動生成します。このデータは、当社システムを通じてパートナー企業への見積依頼や発注処理ともシームレスに接続されるため、情報共有のスピードが飛躍的に向上します。これにより、回答時間短縮、生産開始体制整備の迅速化が実現し、製造プロセス全体のリードタイムが向上します。

6.従業員のITスキル向上と環境整備
 DX推進を加速するため、セキュリティやクラウド、BIツール、生成AIに関する研修を定期的に実施し、従業員のITスキル向上を促進します。 また、ペーパーレス化やリモートワーク環境の整備を進め、効率的かつ柔軟な働き方を実現します。 従業員の生産性向上とDXに対応した職場環境を整えます。

 なお、これらの施策は全て、当社セキュリティポリシーに則り、適切なセキュリティが担保されていることを前提としています。

シナリオ


 DX-Strategyを3つのフェーズに分け、それぞれのシナリオに対応した具体的なKPIを設定しています。これらの達成により、DXを段階的かつ確実に推進してまいります。

シナリオ KPI
Phase1
短期(1~2年)
DX推進の基盤構築

基礎的なDXインフラを整え、
簡易なプロセス改善やデータを可視化する
<情報収集体制の構築>
オフライン加工機にIoT/センサーを設置
オンライン加工機はネットワーク接続を確立
購入品、加工品、工程表にRFIDタグを付与
加工機の稼働情報可視化(加工機の90%を可視化)
モノの所在可視化(加工品、購入品の90%を可視化)
基本工程単位の進捗可視化レスポンスタイム(10秒以内)
<重大アラート検知と自動通知>
検知可能な重大アラート(停止、不適合、進捗遅延など)をリストアップし、自動通知機能を導入する
加工機アラートの真陽性(70%)
不適合製品アラートの真陽性(30%)
進捗アラートの真陽性(100%)
<定型業務の自動化>
検知に基づく定型業務の自動化による工数削減を推進する
アラート検知による工数削減(削減率60%)
その他の状態遷移に基づく自動化による工数削減(削減率30%)
<主要顧客との連携>
主要顧客のEDI等と当社基幹システムとを連携し、 見積依頼データおよび注文データを自動作成する
見積依頼から回答までのリードタイム(平均4時間短縮)
注文から製造開始までのリードタイム(平均2時間短縮)
<セキュリティ意識向上>
全従業員に対する定期的なセキュリティ研修を実施し、DX基盤を扱うための基盤となる意識啓発を行う
確認テスト正答率(全従業員が70%以上)
Phase2
中期(3~4年)
DXの深化と業務最適化

データ活用や自動化を進め、効率化と業務最適化を図る。特に、現場の業務プロセス改善に重点を置く
<データを活用した現場の効率化>
各部門のデータを統合し、リアルタイムで進捗管理や問題発見を検知、可視化する
現場の管理工数削減(削減率20%)
問題解決時間の短縮(平均30%削減)
<製造業務プロセスの自動化拡大>
収集した情報を集約・要約し、製造の定型業務のさらなる自動化を進める
定型業務の自動化(自動化率70%)
<生産管理と在庫管理の最適化>
生産スケジュールと在庫管理をデータ分析し最適化する
在庫回転率改善(10%向上)
欠品率削減(15%減少)
加工機の待機時間削減(営業時間内において平均10%削減)
<顧客との連携強化>
電子契約、情報提供、レポート提出、出荷連絡など顧客ニーズに応じたサービスを自動化する
顧客対応時間短縮(平均10%短縮)
顧客満足度アンケートにおける満足度向上(5%増)
<パートナー企業との連携強化>
パートナー企業との迅速な取引および情報共有を推進する
独自のWebフォーム等を持つパートナー企業 (設定の自動化率80%)
独自のWebフォーム等を持たないパートナー企業 (当社EDI利用率80%)
<従業員のITスキル向上>
BIツール、生成AI等の利用環境を整備し、ルール・マニュアルの作成および講習会を開催する
従業員がデータ分析に基づく業務改善の提案が可能となることを目指す
ITスキル向上の講習会への参加率(全従業員の30%)
ヘルプデスク工数削減(削減率30%)
業務改善提案(各課1件/年以上)
Phase3
長期(5~6年)
持続可能なDX実現

業務プロセス全体を最適化し、生産性の飛躍的に向上させる
<全体的な業務自動化を推進>
バックオフィス業務や物流を含めた企業全体の業務プロセスの自動化を推進する
バックオフィス業務自動化(30%自動化)
受入、出荷作業自動化(20%工数削減)
<経営のデジタル化>
負荷状況や原価率、需要予測や調達可否評価など経営判断に必要な情報をリアルタイムで可視化し、投資や人員計画などの意思決定の迅速化を実現する
経営判断におけるデータ活用(活用率100%)
決済ワークフローの迅速化(平均30%短縮)
<全社的なデジタル文化の定着>
定期的なIT講習会を開催し、従業員のITスキルをさらに向上させる
デジタルツールの業務活用(活用率90%)
ヘルプデスク工数削減(削減率50%)
業務改善提案(各課2件/年以上)
<新規サービス開発、差別化戦略の推進>
DX、AIを活用し、新しいサービスの開発を進める。 これを付加価値とし、競争優位を確立する
新規サービス貢献率(全体売上の20%に新規サービスが貢献)
新規顧客獲得率(10%増)

DX推進体制

 DX-Strategyの推進力を高めるため、専任の「DX推進室」と各課に「DX推進担当」を配置します。 トップダウンでの指示とボトムアップのフィードバックを両立し、全社的な連携を促進します。 また、DX推進に伴う全社的な教育も実施し、社員のITスキル向上を図ります。

<DX推進室>
 構成:役員、各部長、システム課員(SE)
 目的:DX-Strategy推進力強化および全社的なDX教育の策定
 役割:DX-Strategyの施策の全社的な統括・調整する。
    各課DX推進担当に対して具体的な実施内容を指示する。
    各課DX推進担当から要望・意見を集約し、新たな取り組みを決定する。
    全社的なDX教育プログラムを策定し、各課への展開をサポートする。

<DX推進担当>
 構成:各課に1名以上設置
 目的:DX-Strategyの横断的展開および現場教育の推進
 役割:DX推進室からの指示を課員に展開する。
    施策の実施状況、課員の要望・意見を集約し、DX推進室に提示する。
    課員に対して知識やスキルの教育を実施し、現場でのDX推進をサポートする。


DX推進体制